Rhodesにはmk1/mk2など機種名が数種類存在します。
今回ご紹介するのは、Rhodesの中で最も希少と言っても過言ではないであろう【SilverTop】です。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
実際に生でその音色を聴いた事がある方は少なのではないでしょうか。
音色もパーツも別格の【SilverTop】。実は現在店頭にあります。
内部構造やこの個体の修理経緯を織り交ぜながら、【SilverTop】の魅力に迫ります!
商品ページ→https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-w-021320-yz3.html
まずはじめに【SilverTop】のパーツにご注目!
【SilverTop】は65〜71年の期間で製造されていましたが、
以後のRhodesとは全く異なるトーンバー/ピックアップ/ハンマーが使用されています。
左写真がSilverTop、右写真がそれ以降のトーンバーです。
【SilverTop】のトーンバーはお習字で使う文鎮のような、長方体の棒状になっています。
形状がだいぶ違いますね!
細かい事ですが【SilverTop】はトーンバーアッセンブリと下の板との間に
スプリングとフェルトの平ワッシャーを挟んだ状態でネジ止めされています。
以後のRhodesはその部分にスプリングとゴムのグロメットが挟まっていますが、
そのゴムの形状が平面ではなく、穴に沿ったT型をしています。
ネジの固定角度によってはトーンバーとネジの隙間がアンバランスになり、
トーンバーの振動に影響が出るため、しっかり固定できるゴム素材&T型に変更されたようです。
このため【SilverTop】の調整は以後のRhodesよりも繊細でシビアです。
しかしながらこれらのパーツの違いが、独特な【SilverTop】の音色を生み出しています。
続いてハンマー。左写真がSilverTop、右写真がそれ以降(75年頃まで)のハンマーです。
こちらも一目瞭然。全く違います!
【SilverTop】はクラシックピアノのような、フェルトで出来たティアドロップ型のハンマーです。
それ以降のRhodesになると、形は製造年や音域によっても変わりますが、
基本的にはゴムチップのついたハンマーとなります。
アタック音に芯がありつつも音色全体が優しい音になる所以はこの部分が大きいかと思います。
ピックアップですが、実はコイルの中心の磁石の長さ、磁力の強さが違います。
【SilverTop】は緑色の銅線が使用されているものが多く(時期によりオレンジ色のものも混在します)、
磁石は長くて強く、柄の部分は以後のRhodesよりも長いです。
同じギターでもピックアップを変えてしまえば別モノに変わるように、
Rhodesでもピックアップの違いは音色に大きな影響を及ぼしています。
余談ですが。。。
【SilverTop】は隣同士のピックアップの繋ぎ方も独特で、1つ飛ばしながらクロスさせています。
ビニールテープの下にも上と被らないように1つ飛ばしながらクロスして繋いでいます。
これはパーツ交換がとても面倒で、リペアマン泣かせの繋ぎ方です。
以後のRhodesではもっと効率的にパーツ交換できるよう、クロスしない繋ぎ方に変わっています。
最後に電気回路の違いにも少し触れさせて頂きます。
【SilverTop】のアンプ部はジョーダンデザイン(50W)が採用されていますが、
以後のRhodesはピーターソンデザイン(80W)へと変更になっていきます。
【SilverTop】は音圧が低い分、音量を上げた際の箱鳴り感が得られます。
また、実機を弾いた方なら最初に気づく違いでもあるvibrato機能。
以後のRhodesはトレモロのように、左右別々で音量が変わるvibratoですが、
【SilverTop】のvibratoは左右同じタイミングで音量が変わります。
そのため音の揺らぎ方に派手さはないですが、音量にあった程良いvibratoになっています。
今回【SilverTop】のパーツや電気回路の違いをご説明しただけでも長くなってしまいました!
次回は店頭にある個体の修理経緯をご紹介いたします。
tammy
- 2020.04.24 Friday
- Rhodes(ローズ)